「イントゥ・ザ・ワイルド」
そして僕は歩いていく。
まだ見ぬ自分と出会うために。
ショーン・ペンの「イントゥ・ザ・ワイルド」は、
すべてを捨て旅へ出た裕福な青年の心の軌跡を描いたドラマだ。
大学を優秀な成績で卒業したクリスは車や財布を捨て、
自由を手に入れるための放浪の旅に出た。
労働とヒッチハイクを繰り返し、
メキシコからあこがれのアラスカへと北上する。
アラスカ山脈の人気のない荒野へと分け入り、
捨てられたバスの車体を拠点にそこでの生活をはじめる。
何もかも捨ててアメリカを放浪し、
アラスカで死んだ青年クリス・マキャンドレスを描いた、
ジョン・クラカワーのノンフィクション「荒野へ」が原作だ。
すでにアメリカでは作られなくなった、
イニシエーション=通過儀礼に関する映画である。
出生、成人、結婚、死などの人間が成長していく過程で、
次なる段階の期間に新しい意味を付与する儀礼。
現代人がなくしてしまったその儀礼を、
主人公は原初の記憶のように辿ろうとする。
主人公が最後に見る景色に打たれる。
彼の彼岸は自然との共生を目指したものではなく、
自己が何かという内省的な旅の終わりだったのである。
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by tsunagunpo | 2009-08-07 14:30 | こまいズム