「誰も知らない」

生きているのは、おとなだけですか。

映画「誰も知らない」は、
2002年秋から2003年夏にわたる1年間、
四季を通じて撮影された。

是枝裕和の切り取る風景は生々しく、
オーディションによって選ばれた子ども達の
その瞬間でなければ記録できない表情にフィルムが溢れる。

トラックからアパートに荷物が運び込まれてゆく。
引っ越してきたのは母けい子と明、京子、茂、ゆきの4人の子供たち。
大家には父親が海外赴任中で母と長男だけの二人暮らしだと嘘をついている。

子供たちの父親はみな別々で、学校に通ったこともない。
それでも母がデパートで働き、12歳の明が母親代わりに家事をすることで、
家族5人は彼らなりに幸せな毎日を過ごしていた。
そんなある日、母は明に「今、好きな人がいるの」と告げる。

出て行った母は戻らない。
子ども達は永遠の夏休みを過ごし続ける。
そして、その夏休みは唐突に終わりを告げる。

第57回カンヌ国際映画祭の最優秀男優賞を史上最年少で獲得した、
明を演じる柳楽優弥の眼差しが素晴らしい。

誰も知らなかったのは明の瞳が見据えていたオトナのエゴイズムだ。

幼い兄弟達は知っていた。
何が自分たちの不幸かを。

電車の中でスーツケースをさする明の手は、
オトナたちが与えてくれなかった、
ささやかな安らぎを逆撫でする。

明に寄り添うように揺れるカメラは、
この物語が今もどこかで語られ続けていると告げるのだ。



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by tsunagunpo | 2009-08-10 00:04 | こまいズム