巨匠が眺めた甲府盆地

再び成瀬巳喜男のことを書く。

成瀬巳喜男は女流映画の巨匠だった。
“女流映画”というカテゴリーが既に死語ではあるが、
女性を主軸とした優れたホームドラマという説明になろうか。

<やるせなきお>などと揶揄され、
メロドラマ性を帯びたドラマツルギーは、
成瀬の好んだテーマであったことは間違いない。

平凡な人物達の決して抒情に流されない日常を描く。
成瀬の描く物語はそのテーマ性ゆえに、
小津安二郎と対比されることが多かった。

しかし小津の作品は日常を描いている描写でも、
ある種のファンタジーを想起させる寓話性があった。
成瀬のような冷徹なリアリズムとは無縁なのだ。

一昨日、サントリー登美の丘ワイナリーに行く機会があった。
このワイナリーでは「娘・妻・母」のロケが行われたらしい。

仲代達矢演じる黒木がワインの醸造技師という設定だ。
映画が作られたのは1960年。
登美の丘は古くからのワイン醸造場だったのだ。

成瀬がファインダー越しに眺めた甲府盆地の風景が、
残夏の霞の向こうに今も変わらずにそこには在る。



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by tsunagunpo | 2009-08-24 21:12 | こまいズム