「廃虚建築士」

ありえないことなど、ありえない。

三崎亜記の「廃虚建築士」は、
不思議な建築物にまつわる4つの物語である。

いつか崩れ、自然へと回帰していく廃墟に魅せられ、
廃墟を造り続ける「私」が主人公の表題作。

事件が続発したため、
市議会は9階建てマンションの7階だけを撤去する「七階闘争」

図書館は、夜間開館ブーム、
本の調教師の不思議な仕事を描く「図書館」

それぞれの役割を全うしようとする蔵と蔵守。
彼らが守り続けているものとは一体何なのかを解き明かす「蔵守」

廃墟は現代人の癒しの空間である。

だが人が住んでいることが発覚し、
「偽装廃墟」が問題になる。

ありそうでありえない舞台に繰り広げられる、
不思議で切ない三崎ワールドはある種の癒やしを与えてくれる。

三崎亜記の作品の根底にあるのは、
理不尽でありながら不可避なものである。

人はその不可避なものに向き合った時、
どんな判断を下し、どう生きていくことを選ぶのか。

その理不尽さは行政の施策に由来するだろうことは、
行政職員でもある三崎の理念であることに難くない。

だが人はそんな事実に翻弄されながら、
冷たい喪失感を受け入れるしかないのである。

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by tsunagunpo | 2009-11-10 08:53 | こまいズム