ミュンヘン


わたしは正しいのか。

スティーブン・スピルバーグの「ミュンヘン」は、
歴史の裏に隠された真実を描いた作品である。

セミ・ドキュメンタリータッチの、
ざらついた画質や手持ちカメラの動きも、
当時の記録フィルムを忠実に再現している。

驚くべきは選手殺害の弾丸の数まで、
事実どおりに緻密に描写するスピルバーグの執念だ。

「プライベート・ライアン」以来スピルバーグは、
「マイノリティ・レポート」、「宇宙戦争」と、
人体破壊を観客に“体感”させる映像に拘ってきた。

一つ一つの死が生々しく、
マシンガンの発射音、人間に穴が開く音(!)まで、
徹底的な音響設計はこれまでのどんな作品より残酷に響く。

1972年9月5日、ミュンヘン・オリンピック開催中に、
パレスチナゲリラ“ブラック・セプテンバー”による、
イスラエル選手団襲撃事件が起こる。

人質となった選手11名は全員死亡した。

これに激怒したイスラエル機密情報機関“モサド”は、
秘密裏に暗殺チームを編成、首謀者11名の殺害を企てる。

リーダーに任命されたアフナーは、
仲間4人とともに殺害を実行していくが、
次第に自分たちの任務に疑問を感じ始めていく。

そしてアフナーが過酷な任務を終え、
ニューヨークに舞台を移したラストに泣ける。

そびえ立つ世界貿易センタービルに、
スピルバーグは暴力の連鎖を静かに糾弾する。

復讐は復讐を呼び、果てしない殺し合いは
女性や子どもを今も容赦なく巻き込んでいるのだ。



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by tsunagunpo | 2009-11-29 21:45 | こまいズム