キップをなくして

キミは今日から、駅の子になる。

池澤夏樹の「キップをなくして」は、
電車の切符を落として駅から出られなくなった、
子どもたちの成長を描いたファンタジーだ。

鉄道をモチーフにした子ども達の冒険を描いた作品はは古今多い。

宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」、
アンオールスバーグの「ポーラー・エクスプレス」、
切符を買って、電車に乗ることそのものが“冒険”なのだ。

主人公イタルは切手のコレクションが趣味の男の子。

ある日、銀座の切手店に電車を乗り継ぎ向かう途中、
電車のキップを無くしてしまう。

そして、東京駅には同じような少年少女が共同で暮らしていた。

イタルたちは列車事故から子どもたちを守る「駅の子」となる。
「駅の子」は、改札を出られない不自由と引き換えに、
迷路のような東京駅を根城に各線を行き来し、好きな弁当も食べられるし、
安全のためには、時間を止めることもできる。

だが、そうした仲間のうち、
どこか様子の違うひとりの少女の話から、物語は急展開する。

人生とは、なくした切符を探しては乗り継ぐ鈍行列車のようなものなのか。

池澤夏樹が描く大人の童話はどこか切ない。

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by tsunagunpo | 2009-12-29 09:10 | こまいズム