ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京

時と記憶が、女を壊す。

楡周平の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京」は、
二世代の男女を通じ、日本の上流階級の実像をあらわに描く。

大病院の経営者を親に持つ若き大蔵省キャリア・崇。
次の総裁候補とも言われる大物政治家の長女・尚子。

大蔵事務次官の仲介で持ち上がった二人の縁談は、
だれもがうらやむ結婚となるはずだった。

そして頂点まであと一歩と迫り、権力に執着する男。
過去の亡霊に怯えはじめる母。

富と権力を受け継ぐことを、
当然のように信じ切ってきた子供たちの暴走は、
些細な解れから破滅に向かう。

楡周平が描くのは、
時間はどこまでも人を変えてしまい、
過去は消し去ることができないということである。

ピカレスク・ロマンとすると物足りないが、
体制を変えるためのもっとも早い方法は、
権力の中に入り込み、その頂点に立つとの理論は、
一応は説得力を持っている。

復讐、陰謀、報復。

あらゆる手段を高じた男と女の夢の結末は、
学園紛争から30年。団塊の世代への鎮魂歌なのである。

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by tsunagunpo | 2010-01-23 13:02 | こまいズム