9・11倶楽部

わたしたちをこんなふうにした都庁、壊して、
それで、さよならしよう。

馳星周の「9・11倶楽部」は、
理不尽で不公平な社会への復讐を描いたノワール小説だ。

新宿消防署の救急救命士・織田は、
ある日路上で倒れていた少女を助ける。

彼女と暮らしていたのは、
リーダー格の明をはじめ年齢がバラバラな少年たち。

実は彼らは、都知事による新宿浄化作戦で
両親を中国に強制送還された、戸籍のない子どもたちだった。

事情を知った織田は、
彼らの力になろうと無謀な行動を起こし始める。

織田の行動の底流に地下鉄サリン事件が横たわっている。
彼はこの事件で妻子を失っていたのだ。

地下鉄サリン事件が日本社会の崩壊なら、
9・11テロは世界秩序の崩壊ではなかったのか。

そして織田は子どもたちとテロへと突っ走っていく。

馳星周が描く主人公は、
破滅へと向かって加速していくタイプばかりだが、
織田の場合は人を救いたいという信念から暴走する。

犯罪者は全てが根っからの悪人ではない。

だが、人を救いたいという思いは、
逆説的に傲慢であると作者は鋭く糾弾するのである。

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by tsunagunpo | 2010-02-05 17:42 | こまいズム