「警官の血」(上・下)

汝の父を敬え。

佐々木譲の「警官の血」(上・下)は、
騒然たる世相と警官三代の人生を描いた大河小説だ。

昭和二十三年、上野署の巡査となった安城清二。

管内で発生した男娼殺害事件と
国鉄職員殺害事件に疑念を抱いた清二は、
跨線橋から不審な転落死を遂げた。

父と同じ道を志した息子民雄も、
凶弾に倒れ殉職する。

父と祖父をめぐる謎は、
本庁遊軍刑事となった三代目和也にゆだねられる。

戦後闇市から現代まで、
人々の息づかいと時代のうねりを佐々木譲は甦らせる。

終戦直後から現代までの警察組織のあり方を中心に据え、
それは日本の戦後六十年史を正確になぞっていくのだ。

謎は親から子へ、子から孫へと引き継がれ、
その原罪は「血」でしか贖えない。

世代が変われば目先が変わる。

しかし変わらない謎が物語に筋を通す。

和也は祖父・清二のホイッスルを首から提げ、
これから踏む込む現場に臨場する。

そのホイッスルは高らかに鳴らされるだろう。

吹鳴は戦後という時代を呼ぶ笛の音であり、
受け継いできた一族の記憶から聞こえてくるのである。

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by tsunagunpo | 2010-03-17 23:12 | こまいズム