四川のうた

名も無き者たちの言葉を聞け。

ジャ・ジャンクーの「四川のうた」は、
巨大国営工場の閉鎖と、そこで働いてきた労働者の姿を通して、
現代中国の半世紀を振り返る壮大な野心作である。

映画は今観るべき映画と、そうでない映画がある。

この作品は、今まさに観られるべき映画なのだ。

作品は複雑な二面構造を持つ。

実際の工場の風景や労働者たちへの、
インタビューといったドキュメンタリーと、
架空の労働者を俳優たちが演じるフィクションを融合させた、
セミドキュメンタリー形式が綯い交ぜになったドラマツルギー。

フィクションを溶かし込みながら物語が紡がれていくとき、
立ち現れるのは、近代化の号令にくるまれた人間的な営みを、
抑圧する力への批判的な眼差しである。

先進諸国に追いついた都市の風景にこそ、
我々は虚しさを覚え、深いため息をつく。

国の在り方も、個々が体験してきた出来事も異なるが、
我々の胸にも迫る普遍性があるのである。

それは資本主義経済の綻びが、
世界的に著しくなってきたことと無縁ではないのだろう。





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by tsunagunpo | 2010-05-07 23:50 | こまいズム