渇き


この愛、赦したまえ。

パク・チャヌクの「渇き」は、
異色のバンパイア映画である。

アフリカで行われたワクチン開発の実験台となり、
輸血された血液のせいでバンパイアとなった神父サンヒョン。

幼なじみの妻であるテジュと恋に落ちた彼は、
テジュから夫を殺害して欲しいと頼まれる。

自己と他者に向けられた鋭い眼差しが、
独自の世界を切り開いていく。

神父は、虐げられている人妻に救いの手を差しのべているのか、
彼女を純粋に愛しているのか、曖昧にされ、
人妻は、神父を愛しているのか、利用しているだけなのか、
作り手の判断を保留され、観客の意識は宙づりにされる。

パク・チャヌクは復讐する者とされる者が、
決して和解に至ることない双方の痛みを執拗に描いてきた。

バンパイアになることで、解放されるのか、
虜になるのか。彼らの渇きを潤すものとは何なのか。

その答えは、自己と他者を隔てる多様な境界が生み出す、
混沌、亀裂、深淵に呑み込まれていくのである。





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by tsunagunpo | 2010-08-08 14:21 | こまいズム