空気人形

こころを持つのは、
哀しいことでした。

是枝裕和の「空気人形」は、
空虚な東京を舞台にした愛の寓話である。

女性の「代用品」として作られた空気人形ののぞみに、
ある朝「心」が芽生え、持ち主の秀雄が留守の間に
街へ繰り出すようになる。

そんなある日、レンタルビデオ店で働く青年・純一に出会い、
密かに想いを寄せるようになった彼女は、
その店でアルバイトとして働くことになる。

「空気人形」とは浮輪のように、
空気でふくらますラブドールのことである。

空気が抜けたら息を入れて
ふくらまし直してやらねばならない。

この作品を豊穣な映画的世界に誘うのは、人間の吐息に始まり、
風鈴の音色に終わる全編に響きわたるノイズである。

是枝裕和は「誰も知らない」でも、
日本かもしれない異化された日常を描いた。

韓国人女優ペ・ドゥナは入魂の演技で、
人形に魂を入れ、つかのまの生命を甘受する。

東京かもしれない空虚な都会の片隅に、
生まれ落ちた喜びを紡ぎ出す幸福な場面がこの作品の白眉だ。

自分勝手な男たちにモノとして玩弄される人形の宿命を、
粛然と引き受けるペ・ドゥナは荘重な悲劇の中で輝くのである。





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by tsunagunpo | 2010-08-23 17:40 | こまいズム