最後の賭け

すべてを変えてしまえばいい。

クロード・シャブロルの「最後の賭け」は、
軽妙さとブラック・ユーモアを前面に出した異色の犯罪スリラーだ。

カジノにやって来た客を色仕掛けで騙し、
小金を稼ぐ日々を送っていた詐欺師・ヴィクトールとベティ。

新たな仕事で、ヴィクトールはベティから、
謎の男・モーリスを紹介される。

モーリスは実業家で国際的グループの経理を担当しており、
マネーロンダリングした大金をフランスに選ぶのだという。

そのカネの出所は不明だが500万スイス・フラン。

ヴィクトールはベティの企む大仕事に引き込まれる。

映画はルーレットに玉がまわるタイトルバックから始まる。

ルーレットの場面が示すのは、
ベティが賭けに真剣に取り組んでいないメタファーだ。

お金は奪い去るものである彼女にとって、
賭けに勝つかどうかはどちらでもいい。

賭けるのではなく騙す。

ギャンブルのような不確定要素に賭けるのではなく、
騙してお金を奪うほうが確実だからだ。

しかし彼女が仕組んだ最後の賭けは、
思わぬ方向へ転んでいく。

ヴィクトールとベティは夫婦のようであり、
また親子のようでもあり、師匠と弟子のようでもあり、
お互いに騙し合ってきた関係である。

その不思議な関係性が、作品に透明感を与え、
クロード・シャブロルの映画であまりみたことのない、
まるでハッピーエンドを迎えているかのようにも映る。

常に騙し合いをしてきたふたりには、
そのエンディングもまた、まやかしなのかもしれない。


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by TsunaguNPO | 2012-01-16 10:55 | こまいズム