ヒミズ

立派な大人になること。

園子温の「ヒミズ」は、
古谷実のマンガを原作とした、
魂の救済の叙事詩だ。

15歳の少年・住田祐一は、
実家の貸しボート屋に集まる、
東日本大震災で家を失くした夜野さん、
田村さんたちと平凡な日常を送っていた。

祐一のクラスメイトの茶沢景子は、
大人びた雰囲気の祐一が好きで猛アタックをかける。

疎まれながらも祐一との距離を縮めていく景子。

ある日、借金を作り蒸発していた祐一の父が帰って来た。

金をせびりながら殴りつける父親の暴力に耐える祐一。

ほどなく母親も中年男と駆け落ちしてしまい、
祐一は天涯孤独となってしまう。

この映画でどうしても議論を避けて通れないものは、
震災後の廃墟の映像を作品に取り込んだことだ。

震災もいずれ、その悲しみは記号化され、
記録と化してしまう運命にある。

今、この悲しみに名前を付けて、
心の引き出しに仕舞ってしまっていいのだろうか。

悲しみであれ、なんであれ名前を付けるという行為は、
それにかたちを与えることで対処が可能であることを示唆する。

震災の風景を題材に映画を作ることは、
その悲しみにタグを付け、かたちを与える作業だ。

かたちを与えられた以上、そこから風化は始まる。

人の思いはどうやって風化するのか。

祐一は「立派な大人」になろうとしている。
親がクズで、愛情の注ぎ方を知らなかったからだ。

彼は怒る。彼は苦しむ。彼は暴れる。彼は叫ぶ。

それは決して、あの震災を風化させまいとする、
作り手と演じ手の確固たる意志なのか。

悲しみのかたちは足掻き、生きることなのだ。

人は誰も、住田祐一なのである。

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by tsunaguNPO | 2012-07-17 11:04 | こまいズム