ラースと、その彼女

傷ついた自分に向き合うこと。

クレイグ・ギレスピーの「ラースと、その彼女」は、
ほろ苦くてハートフルな再生の物語だ。

アメリカ中西部。雪が降り積もる小さな田舎町。

住民みなから慕われる、大人しくて礼儀正しい青年ラース。

兄のガスとその妻カリンが暮らす実家のガレージで、
ひっそり生活する彼をカリンは常に心配し、気にかけている。

だから彼がインターネットで知り合った、
「恋人」を夕食に招待したいと聞いて、真っ先に喜んだ。

ところが当日、ラースが連れてきたのは、
通販で買った「ラブドール」のビアンカだった。

是枝裕和の「空気人形」は、
性欲処理の代用品である人形の「のぞみ」に、
ある日心が芽生えてしまうファンタジーだった。

この物語ではビアンカには心が宿らない。

あくまでも取り巻く人間に焦点を当てた真摯なドラマだ。

設定はコミカルなファンタジーの様相を成しているが、
その底では生と死の問題がデリケートに扱われる。

登場人物たちの気持ちは嘘くさい表現が一切なく、
ラースに対する下手な親切心や同情心などは登場しない。

家族思いの義理の姉カリンを演じる、
エミリー・モーティマーがいい。

町の人々は勇気をもってラースに手を差し伸べる。

しかし手を掴む方には差し出す方以上に勇気が必要だ。

人々はそのことを承知し、辛抱強く取り組まねばならず、
ラースもその大変さをわかっているからこそ、
今まで拒否してきた手を握り返そうとする。

深く傷ついた経験のある人ならば、
いくつものメッセージを感じ取れるだろう。


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by tsunaguNPO | 2013-07-31 12:08 | こまいズム