言の葉の庭
こころの距離と現実の距離。
新海誠の「言の葉の庭」は、
新宿を舞台にした現代人の孤独を見つめた掌編である。
靴職人を目指す高校生タカオは、雨が降ると学校をサボり、
公園の日本庭園で靴のスケッチを描いていた。
そんなある日、タカオは謎めいた年上の女性ユキノと出会い、
2人は雨の日だけの逢瀬を重ねて心を通わせていく。
居場所を見失ってしまったというユキノのために、
タカオはもっと歩きたくなるような靴を作ろうと試みる。
思春期のノスタルジーを描かせたら、
新海誠に優るアニメ作家はいないのではないか。
総武線の車窓、新宿御苑、マンション、缶ビール、そして雨。
晴れた日には逢えないから雨を願う2人。
だが、梅雨の季節は終わり、夏がやってきて、
季節は動いていくのだ。
人はずっとその場所に立ち止まっていることは出来ない。
だが一歩を踏み出すことはとても勇気が必要だ。
タカオとユキノは不器用で生まれる時代を間違えた存在である。
しかしそんな彼らも現実世界に生きることを肯定していくだろう。
寂しさとか切なさは乗り越えて行かなくていい。
受け入れて、抱えながら歩いて行けるようになればいい。
現実の距離はホームの屋根に細長く切り取られた空の向こうだ。
その空の向こうをこころの距離が越えていくのである。
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by TsunaguNPO | 2014-07-19 14:49 | こまいズム