海街diary

私はお父さんとの思い出がほとんどないから、
いつかお父さんのことを聞かせてね。

是枝裕和の「海街diary」は、
吉田秋生のコミックを実写映画化した、
喪失と再生の物語である。

鎌倉に暮らす長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳の3姉妹のもとに、
15年前に家を出ていった父の訃報が届く。

葬儀に出席するため山形へ赴いた3人は、
そこで異母妹となる14歳の少女すずと対面する。

父が亡くなり身寄りのいなくなってしまったすずだが、
葬儀の場でも毅然と立ち振る舞い、そんな彼女の姿を見た幸は、
すずに鎌倉で一緒に暮らそうと提案する。

親を許せない 長女
姉の幸せを願う 次女
父を知らない 三女
自分を許せない 四女

鎌倉の森、湘南の海。梅酒。
やさしい女主人のいる大衆食堂。

是枝裕和は、四姉妹それぞれの心の移ろいを、
みずみずしい風景に溶け込ませるように静かに、
少しずつだが確実に積み重ねていく。

「死」と「生」が共存するものとして描かれ、
法事や葬儀の場面が多いものの、暗さや湿っぽさとは無縁だ。

再三、ものを食べる場面が映し出され、
ふとした場面でさりげなくエロスが挿し入れられ、
死と生がともにある、ありのままの日常が淡々と綴られる。

生きづらさを乗り越えた先にある光。

その光は日常の積み重ねの中でのみ輝くのだろう。

かけがえのなさ、に向けられた祝福と惜別に人は生きている。

そのかけがえのなさを前にして、
我々は四姉妹がスクリーンに佇む姿に、
「事実」と「虚構」の区別など何の意味があろうかと、
ふと諒解するのである。

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by TsunaguNPO | 2016-06-03 13:33 | こまいズム