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「京都買います」

「買ってしまいたいんです。
仏像の美しさのわからない人たちから、京の都を」

円谷プロ制作の怪奇大作戦第25話「京都買います」は、
脚本・佐々木守、監督・実相寺昭雄による、
奇跡のように成立した、日本SFドラマ史上の最高傑作である。

京都の街で深夜、国宝級の仏像が消失する事件が連続して起こった。
しかも人が入った形跡がない。

SRI(科学捜査研究所)の牧は京都府警に協力し、消失した仏像が、
考古学の藤森教授により研究されたものばかりであることに注目する。

牧に問われた藤森教授は、消失の原因は知らないが仏像が消えたと聞いて、
残念だと思う一方でホッとしていると答える。

そして牧は藤森教授の助手で仏像に心を奪われた女・美弥子と出会う。

牧はSRIの助手さおり嬢に京都市内のディスコに連れられて、
あまりに京都とそぐわないその騒音に閉口するが、
そこに美弥子が現れる。

彼女は「京都の街を売ってください」という署名を集めていた。

このエピソードは脚本の佐々木守が芸術祭参加作品として執筆した、
様変わりする古都に幻滅した宇宙人が文化財を買い占めていく、
「あをによし・・」というシノプシスをヒントに作られた。

人間嫌いの男と女。
はからずも惹かれあい京の都を2人で散策するシーンは美しい。

互いに思いを寄せ合いながら、
しかし決定的にわかりあうことのできなかった牧と美弥子。

ラストで美弥子は仏像に変身し、その閉じられた瞳から涙が零れる。

現実に生きた人間への愛情と、
仏像への果てしない憧憬に揺れた美弥子の心情を、
見事に昇華させた忘れがたいシーンだ。

エンドロールでは京都タワーなどの風景がフラッシュバックされ、
日本人がいかに自国の文化をないがしろにしたかを糾弾する。

京都は今も開発という“怪奇”に蹂躪され続けている。

景観法が整う前でこのありさまだったのである。
日本の文化を守るには奇特な宇宙人が必要かもしれない。




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by TsunaguNPO | 2009-02-18 13:43 | こまいズム