木から与えられてきたもの
太陽がぎらぎらと照りつけた日の信号待ちで、
たまらず街路樹の陰に逃げ込んだ。
照り返しのきついアスファルトだらけの中心街で、
木陰はほっと一息つくオアシスである。
建物の陰よりひんやり感じるのは、
樹木が葉から水蒸気を出す蒸散作用で温度を下げているからだ。
風が通り抜けるとさらに涼しさが増す。
「休」という字の成り立ちは、
「人が木陰で安らぐ」という象形である。
人の休息の場は木から与えられてきたものだった。
だからこそ、人は木から離れては生きていけない存在である。
ジャン・ジオノ作の「木を植えた男」は、
南フランスの荒れ地に黙々と木を植え続けた羊飼いの半生だ。
再生の物語は、ちょうど100年前の1910年に始まったという設定だ。
二つの大戦中もその作業は続いた。
不毛の地はいつしか、
緑滴る美しい森に変わった。
かれた水場もよみがえった。
村人にすさんだ心しか育てられなかった土地には、
人も増え、見違えるほど明るくなった。
それはきっと、まちづくりも変わらないのだろう。
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by tsunagunpo | 2010-07-09 18:34 | こまいズム